3-8.ウインザー効果が高いカメラマンと邪魔をするカメラマン2
実際に起きた例を説明します。
新人モデルのお披露目撮影会。定員5名に対して参加者は2名。当然赤字になるけど参加カメラマンの1人Aさんはウインザー効果が高いカメラマンだった。
Aさんのウインザー効果を期待して赤字だけど開催。
Aさんは期待通りに新人モデルの魅力的な画像を自分のSNSに載せて新人モデルのことを褒めてくれた。
Aさんが宣伝効果によって、次の撮影会の参加カメラマンは3名に増えた、その次が4名、その次も4名。
5回目の出演で参加カメラマンは5名。初めての満員御礼。
新人モデルに対して私は事前に連絡をした。
「初めての満員御礼おめでとう。Aさんが頑張ってくれたおかげで満員になった。
今回初参加のBさんとCさんはAさんほど上手くないけどSNSをやっていモデルの画像を挙げてくれるので宣伝効果を期待できる。
DさんはそもそもSNSをやっていないので宣伝効果を期待できない。
ZさんはSNSをやっているけど日記的な書き込みだけでモデルの画像を全然あげてくれないから宣伝効果を期待できない。
今回もAさんに魅力的な画像をたくさん撮ってもらって宣伝してもらおうね」
ところが実際は全く違ったことが起きた。
新人モデルは顔はそこそこ可愛い、表情が豊かでコミュニケーション能力が高く、撮影したカメラマンたちは口々に褒めてくれた。
「いいモデルが入ったね。これでしばらくビューイット撮影会も安泰だね」
ところが目線配りができない。いままでは撮影時間が短いカメラマンばっかりだったからぼろが出なかったけど今回は違う。
Zさんの撮影時間が異様に長い。
Aさんが5秒撮影する。Bさんも5秒撮影する。Cさんも5秒撮影する。Dさんも5秒撮影する。Zさんが30秒撮影する。
ウインザー効果をまったく期待できないZさんがモデルの魅力的な表情と撮影時間の大半を独占。
新人モデルはZさんばかりに目線を送っているから他のカメラマンたちは撮影できないで退屈している。
休憩時間に私が新人モデルを呼びだして注意した。
「なんでZさんばかりに撮影させているの?あの人はSNSをやっているけどモデルの画像を全然あげてくれないから宣伝効果がないのだよ。事前の打ち合わせ通りにAさんにもっと撮影させてよ」
すると新人モデルが答えた「Zさんが撮影をやめてくれないから目線を動かせないのです」
休憩後も同じ状態が続き、ほとんど撮影できなかったAさんは怒ってビューイット撮影会に参加しなくなってしまった。
それ以来、人気上昇中だった新人モデルの人気もがた落ち。誰も参加しなくなり結局期待の新人モデルは辞めてしまった。
Zさんが参加するとモデルの人気が落ちる。撮影時間を独占されてしまうので他のカメラマンがそのモデルの撮影会に参加しなくなる。
撮影会前日に常連カメラマンから電話がかかってくる。
「明日の撮影会に参加しようか検討しているのだけど、今誰が申し込んでいますか?」
私が、「〇〇さん、○○さん、○○さん、Zさん」と答えると相手は「すみません、やっぱりやめておきます」と電話を切ってしまう。
カメラマン達も学習するのです。
Zさんが参加するとZさんの撮影時間が長いので、待ち時間ばかり長くてほとんど撮影できないことを経験からわかっているのです。
この場合私はモデルに対して「カメラマンが撮影し終える前に目線を動かしてください。カメラマン1人に対する目線は最大2秒以内です」と指導する。
そうするとモデルから「ビューイット撮影会を辞めます」と言われてしまう。
仕方がないのでZさんに対して「撮影時間が長くて迷惑なので参加しないでください」と伝える。
するとZさんは今まで撮影したモデル全員にメッセージを送る。
画像を全然あげないけどZさんはSNSをやっていてモデルのSNSと繋がっている。つまりメッセージを送ることができる。
「ビューイット撮影会の藤岡さんから参加禁止にされたので、これからは撮影することができません」
すると人気モデルから怒りの電話がかかってくる。 「なんで私のファンを参加禁止にしているのよ!!」
私が事情を説明すると
「それは目線配りもできないようなモデルを出演させている藤岡さんが悪いのよ。今すぐZさんに謝って参加禁止を取り消して、そうしないとビューイット撮影会を辞めるからね」
人気モデルがいなくなると困るから言われた通りにZさんに謝って参加禁止を取り消す。
これは人気モデルの言い分が正しい。
アマチュアカメラマンで客であるZさんに撮影時間を短くしろというのがおかしい。
モデルはプロなのだからZさんが撮影中でも2秒以内に目線を動かさないといけない。
Zさんは何も悪いことをしていないのです。
本来はZさんは盛り上げ役だったのです。
参加カメラマンが少ないときは私は半額にするから来てよとZさんを誘っていました。
恐縮するZさんに私は「いや、Zさんがたくさん撮影してくれるから撮影会が盛り上がって助かるよ」とか言っていたのです。
そのころとZさんは何も変わっていない。
変わってしまったのはモデルの方。
レースクイーンやイベントコンパニオンがモデルを務めていた頃はちゃんとカメラマンが撮影を終える前に目線を動かしてくれた。
私の言いつけに従って2秒以内で目線を動かしてくれた(というよりも私が指示を出さなくても2秒以内に目線を動かすのです)
ところがレースクイーンやイベントコンパニオン以外のモデルは2秒以内に目線を動かせない。
だからもう「ビューイット撮影会は待ち時間ばっかりでほとんど撮影できない」ことがカメラマンにわかってしまったのです。
連続して10秒撮影するカメラマンが1人参加するだけで他のカメラマンたちは退屈してしまう。
そのモデルの人気が一気に下がる。
逆に目線配りができるモデルに人気が集中してしまう。